■志駒川における硫酸ピッチ不法投棄事件 レポート  [H16.9.12〜H16.9.16]

H16.9.12

事件の発生

9月12日未明、富津市山中の志駒川上流崖上からドラム缶52本の硫酸ピッチが不法投棄されました。
事件のあった12日は湊地区にいたのですが、午前中から消防や警察が頻繁に往来し、志駒川に油が流出したため川に入らないようにという広報無線が入ったので、何事かと思っていました。
19:00頃、同僚議員からの、ドラム缶40本の硫酸ピッチらしきものが志駒川に流出したと聞かされ、大変な事件であることがわかりました。
直ぐに友人2名と一緒に、現場近くの対策本部に向かい、暗い中懐中電灯で照らしながら投棄現場を見てきました。ひどい悪臭が漂い、崖の上から下まで真っ黒で、周辺の草木は立ち枯れしてるのが分かりました。また、川の魚や蟹は全滅に近いことを聞かされました。

行政の対応としては、朝から市長が現場に駆けつけ対応し、県の行政代執行により対策を実施することが決定していました。対策本部には吉本県会議員や千葉県環境生活部の神子次長、富津市経済環境部吉田部長、地元区長さん、などが翌日の対応について話をしていました。

対応についてはほぼ考えられる対策が取られていると思いましたが、周辺・流域住民への広報は、流出した物質がもっと重大で危険なものを想定し、更に注意喚起する内容であるべきだと思ったことや、犯人に関する目撃情報の収集なども行うべきと感じました。また我々議員には全く情報が入らず、事件について知ったのが夜になってからだったことなど、連絡体制にも問題があったと思います。
(このてんについては議会でも問題にしてみます)

硫酸ピッチ

重油や廃油などから軽油を製造する際、濃硫酸で不純物を洗浄・除去した後に残る硫酸を含む強酸性で黒色のタール状廃棄物のこと。
強酸性で、皮膚に触れるとやけどの恐れがあり、水銀や鉛などが含まれていることもあり、そのもの自体も有毒だが、硫酸ピッチから発生する亜硫酸ガスの毒性も高い。
中和して焼却したり、油分を除去した後に埋めるなどの処理方法があるが、タール状で時間が経つと固まる上、強酸性なので焼却炉を傷めやすく、その処理は容易ではない。
最近は不正軽油(脱税軽油)の製造で出た硫酸ピッチの不法投棄が各地で多発し、問題になっている。

 

行政代執行

本来、不法投棄は投棄した当事者が後始末をする決まりなのですが、緊急を要する場合は行政が当事者に変わり対応します(代執行)。
今回は県の代執行が直ぐに決定し、県・市・地域が連携して出来る限りの対応を行い、最小限の被害に留めることができたように思います。

 

 

H16.9.13

事件現場と市からの説明

朝8:30に現場に行き、投棄された崖上と、橋の上から志駒川の状態を確かめに行きました。
10時から議会委員会があったため、友人に写真撮影をお願いし、委員会の席上で市からの説明を受けました。
その時点での説明を下記に示します。

事件発生 9/12(日) 朝8時42分に事件発生の連絡
事件場所 富津市山中の志駒川崖上(志駒川までの高低差80m)
投棄物質 硫酸ピッチと思われる不法投棄
投棄量 ドラム缶43本で、うち11本が崖に引っかかり、32本が志駒川に落下
対策 県の代執行が決定し県主導で対策を実施
9/12の対応 川に落ちたドラム缶を川岸へ撤去
ドラム缶仮置き場を含む処分場所の設定
130本のドラム缶の準備
給水車による家庭用用水の確保
9/13の対応 川岸のドラム缶撤去(上流から重機を導入:県主導で対応)
死んだ魚類等の回収(地元区)
斜面へのシート張り(県主導で対応)

9/13日の投棄現場と橋から見た志駒川の写真を掲載します。
現場は真っ黒で、河川は全体がコーヒー色に染まっているのが分かると思います。
同じ地点から撮影した9/16日の写真と見比べてみて下さい。

不法投棄現場から崖下 (周辺の草木が立ち枯れしています)

志駒川不法投棄直下の現場

撤去されたドラム缶

直下から約20m下流に設置されたオイルフェンス

志駒橋から見た志駒川(投棄現場から約3.5km地点)

下郷橋から見た志駒川(投棄現場から約6.5km地点)

中ノ谷橋から見た志駒川(投棄現場から約8km地点)

岩本橋から見た志駒川(投棄現場から約8.5km地点)

 

H16.9.14

富津市議会9月定例会最終日に市長から報告

市議会定例会最終日の市長挨拶のなかで、志駒川硫酸ピッチ不法投棄の報告がありました。
投棄されたドラム缶は最終的に52本(うち崖斜面20本,志駒川32本)であり、崖斜面の20本の撤去作業や、河川への立ち入り禁止看板の設置、河川・井戸水の水質調査等を進めているとの報告がありました。
行政代執行による県の指揮の元、市・地域が連携して対策を進めています。

 

H16.9.15

環南小学校で住民説明会開催

夜7時半から環南小学校体育館で千葉県と富津市による住民説明会が開催されました。
富津市長,吉本県議の挨拶の後、千葉県環境生活部神子次長の経過説明,君津健康保険センター溝口署長の健康被害に関する説明が行われ、その後質疑応答を行い説明会は終了しました。
投棄された物質が硫酸ピッチであることが確定しことや、対策はできる限りのことを行っていること、犯人はまだ捕まっていないことなどの報告がありました。
体育館にいっぱいの人が説明会に訪れ、説明後の質疑応答も、今後の県・市の対応や、健康被害に関することなどが活発に行われました。
健康被害については亜硫酸ガスに関するものは現時点で緩和されていれば問題ないとのことでしたが、やはり河川や地下水の汚染については今後も水質検査等で経過を見る必要がありそうです。
最後に監視体制について住民の皆さんの目が何より頼りになる監視体制と神子次長が話していました。産廃110番制度等もあるので、是非協力して欲しいとのことでした。不法投棄に限らず、住民が危機管理を行う体制を作っていく必要はあると思いますし、今後の課題です。
以下に報告内容を示します。

対策基本方針
  • 健康と生活環境を守るため、県は富津市の協力を得て、行政代執行により対策を実施する。
  • 投棄された硫酸ピッチをできるだけ早く除去する。
  • 地域の方々の協力をお願いしたい。
対策内容
  1. 不法投棄現場
    1. 投棄されたドラム缶52本の回収は終了
    2. 斜面に残っている硫酸ピッチの削り取り除去を実施中
    3. 志駒川の投棄現場水路を変更し、汚染水が流れないようにすると共に、投棄現場にプールを作り斜面の硫酸ピッチを洗い流す作業を進める
      (プールの汚水はポンプで崖上に汲み上げ処理する)
  2. 志駒川の水質対策
    1. 9/12よりオイルフェンスを設置(投棄現場から20m下流)
    2. 9/13から堤を2箇所設置(志駒橋,環橋)
    3. 9/14から炭や活性炭による浄化対策を開始(環橋)
    4. 9/15から浄化対策をもう一箇所設置(新環橋)
  3. 川の水の水質測定
    1. 9/12から1日1〜2回実施
    2. 硫酸ピッチを図る目安である水の酸性度(pH)は、志駒橋地点で9/12に6.6(弱酸性)だったが、翌日には8.1(弱アルカリ性)と通常レベルに戻っている。
    3. 水質検査は水質汚濁防止法により定められた26項目について実施したが、12日,13日とも基準内に収まっている。
  4. 井戸水等の対策
    1. 家庭用井戸水の水質検査を速やかに実施する
    2. 飲料水は給水車により応急給水を実施中

住民説明会の様子(白井貫富津市長の挨拶)

 

H16.9.16

現場と河川の様子

投棄現場と志駒川の様子を見てきました。
投棄現場は悪臭もだいぶおさまり、崖に着いたタール分を取り除く作業が進められていました。
斜面の削り取られた部分はほとんど撤去が終わっていましたが、崖に着いた黒いタール分は簡単には取れ無さそうです。
志駒川は透明度を取り戻し、下流には魚も泳いでいました。
浄化対策は、川全体に炭と活性炭を沈めて、川全体をろ過するような大きな浄水器のイメージで、新環橋,環橋の2箇所の浄化対策で湊川本流は目に見える被害を食い止めることが出来たようです。

9/16日の投棄現場と橋から見た志駒川の写真を掲載します。
9/13日に比べ大分綺麗になってきたと思います。
対策に当たった関係者の皆さんのご苦労が伝わってきます。

不法投棄現場から崖下(斜面のタールは除去されていました)

志駒川不法投棄直下の現場
(水で洗い流すために直下はプールが作られています)

重機により作られた新しい水路
(旧水路はブルーシートの向こう側になります)

現場で休憩中の皆さんです(大変な作業をどうもありがとうございます)

志駒橋から見た志駒川(投棄現場から約3.5km地点)

下郷橋から見た志駒川(投棄現場から約6.5km地点)

中ノ谷橋から見た志駒川(投棄現場から約8km地点)

岩本橋から見た志駒川(投棄現場から約8.5km地点)

新環橋の浄化装置(投棄現場から約11.5km地点)

環橋の浄化装置(投棄現場から約12km地点)
新環橋より炭(青いネット部分)が多く大規模です


 

最後に

事件当時夜と翌日朝に現場に足を運んだとき、ひどい悪臭と下流までコーヒーのような色に変わってしまった志駒川をみて、人として許せない行為に対する怒りと、破壊された環境を目の当たりにした悲しさで、涙がでる思いでした。
本来、不法投棄は投棄した当事者が後始末をする決まりなのですが、緊急を要する場合は行政が当事者に変わり対応します(代執行)。今回は県の代執行が直ぐに決定し、県・市・地域が連携して出来る限りの対応を行い、最小限の被害に留めることができたように思います。
しかし、合せて産廃の問題,危機管理体制の問題など改善できるところや、今後の課題も多く見つけられたように思います。
すでに全面コーヒー色だった川の色も澄んできており、志駒川中・下流では魚も泳いでいました。悪臭もだいぶ収まったようです。
しかし一度壊された環境を元に戻すにはまだまだ時間と労力が必要になります。
一刻も早くこの極悪非道な犯人(業者)を捕まえ、二度とこのようなことが起こらないよう、私も議員として市民として出来る限りのことを考えていきたいと思います。

不法投棄を目撃した際の連絡先を載せて起きますので、何かおかしいと思うことがありましたら、躊躇せず連絡を取ってみて下さい。
(地域の皆さんの目が一番の監視システムです!!!)

千葉県産廃残土県民ダイヤル(24時間緊急ダイヤル) : 043-223-3801
同南房総県民センター地域環境保全課(平日 8:30〜17:15) : 0438-23-2285
富津市環境衛生係(平日 8:30〜17:15) : 0439-80-1273
環境省 不法投棄ホットライン 産廃110番 : sanpai110@env.go.jp

 

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